写真が前後していますのでインマニがまだ付いた状態ですが、バルブの駆動部も見てみましょう。シリンダ下方の2個一組の穴がタペットの取り付け穴です。 穴の奥にタペットが見えます。くぼみの部分にプッシュロッドがはまり、ロッカ−ア−ムを突き動かしています。
カム山、タペット、プッシュロッドの関係です。模型用4サイクルエンジンでは初期においては、プッシュロッドはむき出しが普通でしたが、次第に写真のようにパイプにより保護される形へと変わっていきました。 シリンダ−。各シリンダ−はクランクケ−スとは独立した形をとっており、4本のボルトで締結されています。この辺の構造はVWやポルシェと同様ですね。シリンダ−は鋼製のスリ−ブをアルミ製の外筒にはめ込んであるようです。
シリンダ−を外したクランクケ-ス。エンジン下方より見ています。 ピストンを分離する。ピストンピンはただ差し込んであるだけで固定はされていません。ピストンピンの両端には樹脂製のキャップがあり、シリンダ−ウォ−ルをキズ付けないよう考慮されています。OSエンジンではよく見られる手法と思います。
取り外したピストン。ピストンクラウンにはコスワ−スタイプの盛り上がりは無く、バルブリセスもありません。ただの平面ですが、それにしてもサイド部の軽量化穴?はすごいですね!こんなのは初めて見ました。 ピストン拡大。ピストンリングは1本しかありません、これはブロ−バイに含まれる潤滑油によりエンジン各部を潤滑しているからです。つまり、意図的に吹き抜けをさせていると言うことです。FA80−Tではリング無しのラップピストンでしたね、理由は同じです。
完全分解一歩手前のクランクケ−スです。 コンロッドは砲金製と思います。小端側はメタル無し(砲金製ならいらない?)腕の部分はちゃんと肉抜きしてありました。
コンロッド大端側はキャップによりクランクピンと連結されています。本来なここも分解するのですが、手持ちの工具ではサイズが合わないので残念ながらここまででTHE ENDとしておきます。 完全分解一歩手前の構成部品全景。
ここまで分解するのに4時間ほどかかりました。
リアハウジング上のエンブレム。小さくて読めませんが、製造Noは402となっていました。結構初期の代物です。 今までと逆の手順?で再組み立て完了!写真だと一瞬で終わりです。

以上、前回より少し踏み込んで分解してみましたがいかがだったでしょうか?水平対向という点ではEJ20と合い通じるものがありますが、構造上決定的な違いもあります(そう思っているのは私だけ?)。それは、クランクケ−スが割れないと言う事です、割れないと言っても壊れないと言うのでは無く、2分割式じゃないと言うことです。そのためコンロッドを外さないとクランクシャフトが抜けないわけですが、その分小型・軽量化が可能となっているようです。またもう一つの違いはクランクシャフト前後にボ−ルベアリングを使用していましたが、実は中央部にもボ−ルベアリングが入っていました。じゃあ一体どうやってベアリングを入れたのか?答えは簡単!実はクランクシャフトが前後2分割式だったんですね。中央のベアリング内で前後のシャフトがかみ合うようになっています。このあたりを知りたい方は小川精機のホームペ−ジから分解図PDFファイルをダウンロ−ドして見てください。
 その他、特徴的だったのはやはりピストンでしょうか?あれだけ肉抜きしてもちゃんと動くのですからたいしたものです、OSエンジンの場合ピストンに穴をあけるのは良くありがちなのですが、あれだけ派手なのは初めてみました。斉藤製作所のFA80−Tと比較した場合、両社の設計思想の違いも何やら見えてくるような気もします。斉藤の場合、多気筒エンジンは全て連装キャブですが(今もそうかな?)、OSは全てシングルキャブになっています。性能重視か取り扱い重視か?このあたりの違いから両エンジンを眺めるとまた、違った顔が見えてきそうな気もします。
 FF320、実際の運転はどうでしょうか?はっきり言って初期の段取りは面倒です、プラグ4本に通電しますから配線を4系統用意しないといけません。まぁ、ただのワニ口クリップなんですけどね。でも電源が4ついります、1.5Vが4つ、乾電池が4つあればいいのですがスイッチでON・OFFさせるので大変です。燃料タンクを設置して給油を済ませたら、プラグに通電し始動です。20インチのプロペラを手で掴んで反時計方向にクランキングします、さすが排気量が多いだけにあっさりと始動してくれます。ちょっとコワイですけどね!同じ50ccでも原付の音とはかなり違います、昔懐かしい複葉機の音と言ったら解りますでしょうか?まさにアレです。アイドリングから回転を上げていく時の音が一番楽しいです、ハイ!



 小さい水平対向と銘打って始めたこのコ−ナ−ですが、実を言うとフラットエンジンは今までの2機種しかありません。ならこのコ−ナ−はもう終わり?そんな気もしますが、フラット以外の機種がまだあるのでそちらの紹介を続けて行きたいと考えています。次は何にしようかな?